相続税入門その5 相続税計算方法
相続税の税額の計算方法は、相続財産から様々な控除をしてから各相続人で按分します。
相続税の税額を計算する方法は、各相続人が実際にもらった財産に直接税率をかけるというものではなく、相続財産の総額から基礎控除額等を計算して、各相続人の相続分に按分した額に相続税の税率をかけることになります。
非常に難解ですが、ひとつづつ確認していきます。
《例》
例えば、夫が平成24年1月1日に亡くなり、相続人は妻、長男、次男で遺産が8,800万円でした。
法定相続分通り、妻が4,400万円、長男と次男はそれぞれ2,200万円ずつと決めました。
そのときの相続税の計算方法です。
※参考【相続税の基礎控除額】
法定相続人 基礎控除額
1人 3,600万円
2人 4,200万円
3人 4,800万円
4人 5,400万円
5人 6,000万円
(1)まず、最初に基礎控除を引きます
(今回は法定相続人が3人いるので基礎控除額が4,800万円となります)
8,800万円 − 4,800万円 = 4,000万円
(2)次に法定相続分で按分し相続税の総額を決めます
(それぞれの課税標準額によって、税率と控除額があります)
妻の税額 (4,000万円÷2)×15%−50万円 = 250万円
長男の税額 (4,000万円÷4)×10% = 100万円
次男の税額 (4,000万円÷4)×10% = 100万円
合計 250万円+100万円+100万円=450万円
課税標準額 税率 控除額
1,000万円以下 10% なし
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
3億円以下 40% 1,700万円
3億円超 50% 4,700万円
(3)最後に実際の取得額で按分します
妻の税額 450万円÷2=225万円
長男の税額 450万円÷4=112.5万円
次男の税額 450万円÷4=112.5万円
つまり、相続税は妻が225万円、長男と次男はそれぞれ112.5万円を支払うことになります。
ただし、配偶者である妻については、配偶者控除と言われるとても大きな控除があり、今回の場合は、配偶者控除の申請をすることで非課税となります。
配偶者控除を使えば、相続税がゼロ円になる場合、かならず配偶者控除の申請する必要があり、申請をしないと税務署から調査を受けることになりますのでご注意ください。
そして、配偶者控除の申請をしたときは、長男と次男がそれぞれ112.5万円の相続税で済みます。
妻分の225万円の税金が無くなるということです。
相続税の申告が必要とされるのは相続が発生した全体のうち約10%と言われますが、その中でも配偶者に税金がかかるということは、約10%の中でさらに数%の場合しか税金がかかることはないでしょう。